とらじぇでぃが色々書くやつ

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京都の古本屋を巡った

 

5月の半ば、ネット記事で三月書房さんが閉店する(定休日が週7日になる)と知りました。

www.lmaga.jp

三月書房は京都にある本屋さんです。古本屋ではなく新刊を扱う本屋なんですが、とにかく品揃えが珍しく、普通の本屋(紀伊国屋とかジュンク堂とか)では見かけない本を揃えていると前から聞いていたので、いつか行こうと前から思っていたのでした。しかし、閉店してしまうとは……。京都までは遠いので少し迷ったのですが、後悔すまいと5月末に遠出することにしました。コロナは怖いですけど、本屋なら人も少ないだろうし、マスクをしたうえで不用意に手で顔を触らなければ感染はしないでしょう。

三月書房周辺にはいくつか古本屋があります。そこをついでに回ることしました。しかしそれだけでは少なく感じたので、出町柳駅周辺、つまり京大周辺の古本屋も見て回ることにします。

前日に定休日を下調べをしました。もちろん、コロナで臨時休業していないか、営業時間を短縮していないか調べます。そして、全部で10件の本屋を17時までに全て回り切る計画を立てたのでした……。

 

当日。13時ごろ、京都市役所前に到着しました。昼食はまだです。出発する2時間ほど前にはあまりお腹が空いていなかったので摂ってこなかったのですが、流石に少し空腹を感じます。近くのコンビニでお茶とウィダーを買って歩きながらエネルギーを摂ります。見知らぬ土地でもセブ○イレブンを見かけると少し安心します。

北上するルートを予定していたので、最初はアローントコとか言うところに行ったのですがなんか開いてなかったので退散しました。細いビルの二階で、店の隣が美容室でした。そのドアがオシャレにガラス張りだったので、イケイケなお兄ちゃんたちがこっちを見てたのがめちゃくちゃ怖かったです。だから「退散」。

大きな道沿いを北上します。京都は通りが基本直角に交差しているし、一つ一つに〇〇通りと名前が付いてるので地図がすごく見やすいです。とか言って油断してたら、店先の綺麗な道具やら布やらに気を取られて目的の本屋を通り過ぎていました。けっこう離れていたのですが、渋々引き返します。

尚学堂です。店先で本をめくっている人がいたので今度はすぐ分かりました。入り口は2つ、通路はコの字型で、狭いスペースに天井までぎっしりと本が積まれています。マスクをしていても分かる埃っぽい匂い。古本屋に来た感じがします。持ってきた大きなカバンが本を落とさないよう、前に抱えながら背表紙を見ていきます。

私の目的は哲学書を安く手に入れることです。あと、法学系と政治学系の本も気になるのがあれば買いたいですね。

結果、2冊が目に留まりました。『生の全体性』と『法学の基軸』です。前者はインドの哲学者が書いたものだそうで、後者は法哲学の本です。どっちも聞いたことは無かったのですが、面白そうなので買いました。合わせて1500円です。

 

次が三月書房でした。

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凄かったです。もう、終始目を輝かせながら、本棚の前を5往復はしました。

入口は写真の通り1つ、通路は縦長のロの字で、入口から見て左が芸術関係、真ん中が演劇とかだったかな。そして、一番右の棚が思想系です。おそらく閉店のためですが、岩波文庫など返本出来ない本は全て50%引きになっていました。

先述した通り、三月書房はその品揃えが有名です。私も、思想系の本棚を見たとき、「この本屋は他と違う」と一目で分かりました。陳列が哲学史に沿っているところもそうですが、一番驚いたのはフーコーの『狂気の歴史』が置いてあることでした。『監獄の誕生』 『言葉と物』と同じ新潮社の函入り書籍なのですが、本屋では滅多に見かけません。私はけっこうな数の本屋を見てきたと自負しているのですが、出会ったことがあるのは大学の本屋での『監獄の誕生』一冊のみです。

そのときは「このあと古本で見かけるかもしれない」と買うのを見送ったのですが、今思えば買った方が良かったかもしれません……。というのも、先の3冊は新装版が販売されているのですが、それらは手触りがあまり良くないらしいのです。手持ちの『監獄の誕生』はカバーが布の生地になっているのですが、新装版はそうでないらしいです。和訳の中身は変わっていないそうなので、それならなおさら旧版がほしいです……。

30分ほどしか時間を割けませんでしたが、ここでも2冊購入しました。岩波の『論理哲学論考』 と『内乱の政治哲学——忘却と制圧』です。合わせてたしか3000円くらいでした。5%還元目当てでカードを使ったのですが、店番の方が作業に慣れていないみたいで、ちょっと悪いことをした気になりました。なんかごめんなさい。

 

東へ進み、鴨川を渡って、次は中井書房です。外見によらずけっこう広いです。普通のコンビニより大きいくらいかな。清潔感があって、カフェをやっても問題ないくらいに感じました。本は相変わらず天井まで積まれています。

古本屋の中では比較的洋書が多いように感じました。『存在と時間』の原書もありました。

新書が一律300円*1とのことだったので、アーレントハイデガー入門、そして『正義とは何か』 を買いました。人の好さそうな店主さんでした。

 

交差点に座れる場所があったので一休みしました。既に数キロは歩いています。引きこもり生活に加え、ゼリーしか摂っていないのでヘロヘロです。筋肉痛確定だな、とうなだれます。しかし時間はありません。既に15時半で、ルート最後のお店が17時閉店のためです。

ここから出町柳へ向かいます。つまり鴨川沿いに北上します。

 

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ここまでの経路

 

とはいっても足がキツいので、歩けない距離ではないですが地下鉄に頼ります。小さい駅だったので少し待ちましたが、一駅で出町柳です。

出町柳は以前、古本まつりで訪れたことがありました。そのとき古本屋を見かけたので、再訪しようと前から思っていたのでした。

字数が多くなってきたので本屋の詳細は省きますが、ここで買った本は『生誕の災厄』『現代思想 特集=法としてのフィクション』の2冊です。特に『生誕の災厄』は新品同様でしかも1000円程お得だったので嬉しかったですね。

 

買った本。

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そういうわけで、なんとか17時前に計画通り回りきりました。見知らぬ土地に来たらいつもラーメンを食べて帰るのですが、調べたところ近所のラーメン屋は17:30開店。あと30分ほど時間があります。

外で座っているのも体が冷えるし、かといってカフェに入るのは勿体ない、イートインスペースがありそうなコンビニは遠い……そう考え、散歩をすることにしました。

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昔、学校行事でこのあたりを歩いたことがありました。大阪の学校なのに。先生たちは京大を見せたかったらしいですが。京大を見たら頭が良くなるんですかね。

と色々なことを思い出していると、体がけっこう限界っぽいことに気づきます。空腹はそこまで感じなかったのですが、とにかく体が重いです。前をゆっくり歩くご老人と距離が縮まりません……。

 

なんとか歩ききり、ラーメン屋に到着。開店時間ちょうどでした。

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おすすめの塩らーめんと、焼きめしを頼みました。おいしかったです(表現力不足

 

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出町柳駅からの経路

 

店を出ると、体が比較的動くようになっていました。食事の大切さを思い知ります。

用は済んだのでバスで帰ります。京都市内はどこまで行っても230円です。車内は空いていました。席に座り、なんだか感覚の鈍い足で、カバンの重みを感じます。ほぼ4時間歩きっぱなしだったので、次はもうちょっと、歩く距離を減らそうと、そう思いました……。

 

 

 

 

*1:出版社によれば200円のもあった