チームと窓、そしてギルド
周知のことですが、シャドバにはチームというものがあります。プロのチームではなく、アマチュアチームのことです。
また、巷には窓というものも存在しています。2pick窓や、ビショップ窓などがそれです。
さらに、少し前のアップデートで、シャドバゲーム内にギルド機能が追加されました。
ですが、これらの違いとは何でしょうか。
ここでは、以上3つの違いを考えるとともに、それぞれの関係について考えようと思います。
まず、チームと窓について比較しようと思いますが、その前に、チーム・窓とは何かから考える必要がありましょう。
まずチームです。
チームとは、シャドウバースプレイヤーが共通の目的をもって集まった集団であり、現実に照らしていえばサークルに近いものであると考えます。結成には一人あるいは複数人が発起人となり、チーム結成の宣言を行えば十分です。登記等は(もちろん)必要ありません。そして、扱いは非公式なものとなります。
チームの特徴は様々ですが、主には大型大会の実績などを求めて結成されている場合が多いようです。タイムラインを眺めていましても、実績の獲得を掲げているところがほとんどでした。
一方で、私がリーダーを務めるBABELのように、語り合える仲間を作る場としてのチームも存在しています。
他にも当然方向性はあるでしょうが、とりあえずそれぞれを類型としてみると、前者と後者では集まるメンバーの性質や、活動頻度も変わってくることが容易に想像できます。
ただ、活動内容自体はどこもほとんど変わらず、チーム内大会、構築相談、対抗戦etc.で構成されているようです。
ではなぜチームが誕生したのか。
シャドバに限らずですが、良い結果を出すための一歩として、情報収集は重要です。向上心のある人たちは、氾濫するネットの海から少しでも優良な情報を拾い出そうと躍起になります。
それもそうで、誰かが発見した、タイムリーに勝てるアーキタイプ・デッキリストをコピーすれば、ある程度の勝率は確約されるのです*1。そして人々は最新の情報が集まるTwitterに集います。
しかしながら、そうした情報は全てが正しいわけではありません。特に環境初日の”強いデッキ”は当てにならないなどと言われますが、そうした視野の狭さ、無知が情報に含まれていることも多々あるのです。
また、一昔前にはインフルエンサーたちが本命でない構築や対人戦では真に有効でないカードなどを意図的に拡散させ、大会を優位に運ぼうとしました。個人でこうした情報の真偽を全て見抜くことはかなり困難です。
さらに、ネット上の全員に情報を発信することは、その発信者にとって必ずしもプラスになるわけではありません。その情報ひとつで、たとえば承認欲求と引き換えに、自分が負けてしまうことすらあり得るのです。
とすれば、求められるのは広くもなく、かつ狭くもない、閉じたコミュニティです。ただ、この時点ではおそらく、仲の良い何人かが集まって構築の相談をするという、よくある光景に留まっているでしょう。
もしここまでの想像が正しければ、そこからなぜその非公式コミュニティがリーダーや名称を持ち、さも会社や公共団体のように振る舞うようになったのかは疑問です。長く界隈にいるわけでは無いのでわからないのですが、おそらく何かきっかけがあり、このチーム文化が生まれたはずだと考えます。
もちろん、今は大型大会優勝を目指すような方々で想像を膨らませましたが、チームを組むのはそういった方だけではありません。一緒にプレイする人が欲しいという方もいます。
個人戦は基本孤独です。黙々とやっていれば飽きも来ます。しかし、語り合える人がいれば、何倍にも楽しめるようになるのです。
似た例に、物書きたちや大乱闘スマッシュブラザーズのグループがあります。物書きもスマブラも、その作業・プレーは孤独です。物書きは内なる自分に黙々と向き合い、スマブラプレイヤーはCPUや顔も知らないネットプレイヤーと延々と戦うことになります*2。そうしていると、誰か語り合える仲間を探したくなるものです。
そして、理由はともあれ、そうしたチームは需要が高くなっています。今もチームが無数ともいえそうなほど存在していることが、その証左です*3。解散と結成の知らせは絶えず飛び交い、人々はチーム選びには事欠かないことでしょう。
そんな星の数ほど存在するアマチュアチームと、今比較しようとしているのが窓です。
窓という名詞が画面のことを指すというのはお分かりでしょう。パソコンの「ウィンドウ」を日本語化すれば窓になりますよね。そしてゲームでよく言われる窓というのは大抵スカイプやdiscordのチャットウィンドウを指しているらしく、そのチャットウィンドウでやり取りする自分たちのことを〇〇窓と呼び始めたことが起源であるようです。
ですから、大本をいえば、グループチャットでやり取りしている人たちのことは十把一絡げに窓と呼べることになります。
こうした集合も、シャドバにおける誕生の経緯はチームと全く同じ説明ができます。
相違点は活動場所でしょうか。チームはどこでもチームと名乗りさえすればチームになりますが、窓は活動場所がチャットアプリなどに限られます。
……しかし、呼ぼうと思えばTwitterのDMもチャットと呼べなくはないですし、チームでもdiscordを使っているところも多々あるわけで、そうすると区別は付けられないのではないでしょうか?
この問いは少し置いておくこととして、シャドバにおける窓の特徴を見てみましょう。
シャドバの窓には、大きく分けて3つの種類があると考えられます。
・構築窓
・2pick窓
・クラス窓
構築窓は構築を研究する集団です。多くはローテーション、アンリミテッドとさらに分けられます。
2pick窓は説明不要でしょう。
クラス窓はエルフだけ、ビショップだけなどを尖って研究する集団です。
以上のように、漠然と「窓」とだけ名乗っている窓はおそらくありません。もしあったとしても、周囲からは勝手に分類が行われるでしょう。
すなわち、窓の特徴として、何かに特化しているということが挙げられます。
「なるほど、そこで区別できるかあ」となるのは少し早いです。チームにもこれら窓のように、クラスやフォーマットに特化したところも存在しているからです。
ただ、それらの特化型チームを例外として括ることが許されるとすれば、チームと窓の違いは扱う領域の広さの違いであると言えるでしょう。
つまり、チームがいくらか広い領域を分担して研究する集団である一方、窓はある一つの分野・領域・形式に絞って、集中的に技術向上に努める集団であるということです。
ですが、私の意見としては、もう一つの窓の特徴を重視したいと思っています。それは、窓メンバーの多くが既にチームに加入していることです。
どういうことかというと、チームは窓という場を、知識を取り入れる場として考えているということです。
秀逸な例をいつかに見かけたことがあります。チームとは学校のクラス、窓は部活だという例です。もしかしたら、窓を塾や予備校と言い換えてもいいかもしれません。
部活や塾で得た知識を、本業とする学校で出そうというわけです。
実際、ほとんどのチームが窓との掛け持ちを許可していますし、逆に窓のメンバーは掛け持ちがほとんどです。
そんな窓の成立が具体的にいつかはこれも分かりませんが、少なくとも、チームより後に成立したことは間違いないでしょう。
背景を少し考えてみます。
RAGEなど大型大会優勝を目指し、貪欲に知識や経験を積もうと考える人たちは既にチームか、準チームとでも言うべき何らかのコミュニティに所属しています。そこから更に、特化した情報を得たいという考えを持った人々が呼応し合い、既にそれぞれ異なるコミュニティに属する面々が窓として結集したという背景が想像できます*4。
つまり、窓はチームの存在を前提として作られた枠組みであると言うことができます。
そうであるなら、チームと窓は違うというよりは、相補的に一個のシステムを形作っていると言ったほうが妥当であるように思われます*5。
さて、次にギルドを見てみます。
ギルドとは先日のアップデートで追加された、ゲーム内コミュニティです。
これに関しては、正直実装が遅すぎたと思います。もし、ギルドがサービス開始時もしくは早い時期に実装されていれば、チームは生まれておらず、ギルドだけ、あるいはギルドと窓だけが存在することになっていたでしょう*6。
ですが、チームが先立って乱立している今、そこにギルドが追加されると、それぞれがどう意味付けされるのかが問題となってきます。
チームがギルドに吸収される、ということは起こらなかったので、チームとギルドは別物であるというのは間違いなく界隈共通の認識です。
ここで少し、私のチームが建てたギルドを参照してみましょう。
ギルドBABELは、チーム内で参加したい人が参加するという方針で作られました。よってギルドの参加人数は、チームの半分ほどです*7。
チームの使うTwitterとギルドに付属する機能の道具的働きとしての違いは、デッキやリプレイの共有が簡単に行えるという点が大きいところです。
そして、チームはギルドを、その機能を利用する目的で設立します。
ですから、ギルドの機能を必要としなければ加入の必要は無いので、参加しないメンバーが出るのも当然のことです。
そして興味深いのは、ギルドBABELには元チームメンバーが2人在籍しているということです。なお、その2人は現在両者とも他チームに加入しています。
これはつまり、その両チームとも、他チームのギルドへの所属を許可したということ、すなわち、ギルドをそれほど重視していないということを意味します。重視していれば、他チームのギルド(ただのギルドではない)への参加を認めることはしないでしょう*8。
そして私も、私見としては、ギルドはデッキやリプレイの共有などといった機能に価値はあるものの、詳しい話し合いには不十分ではないかと考えています。ギルド掲示板に細かい場面についてスクリーンショットを貼り付けるなどはできないので、どうしてもTwitterなど他の場と行き来することになるからです。
ですから、デッキ共有は「面白いデッキができた」とか、リプレイ共有も「めっちゃ綺麗に勝てた」とかいった具合に、話し合うというよりは盛り上がる場として適性があるように思われます。
そこも考えると、チームリーダーが、チームメンバーが他ギルドに所属することを禁止する必要は無さそうです。
ですが一方で、ギルドにもチームと同じように、対抗戦や内戦をしているところもあるようです。
とするとギルドとチームは活動場所が違うだけということになります*9。どちらも活動場所以外は本質的に同じであるからです。この場合、チームとギルドは別であるという認識があるとはいえ、区別をあえて付ける意味は無いように見えます。
しかし、チームがギルドに先立って存在していたことを考えると、今のチームをギルドと呼び直すことにもやはり積極的意味は見出せませんし、一方ゲーム内コミュニティの方は運営によってギルドと名付けられてしまっているので、その名称は絶対的に揺るぎません。
少し煩わしいですが、対抗戦等を行うギルドに関しては、チームはチーム、ギルドはギルドと呼んでいく他無さそうです。
さて、この記事では煩雑にではありますが、表題について少し考えてみました。
しかしながら、お分かりのように、私はほとんどの箇所で、裏付けをとっていません。根拠はほぼ私の経験です。ですから、この記事には「視野の狭さや無知」が含まれています。
そして、例外は必ず存在します。全てを包括する命題はおそらくありません。
以上、ちゃっかりと保険をかけて、この記事を終えます。
*1:今は事情が違うとはいえ、リストの徹底や環境の模索などにおいては、情報は未だかなりの価値を待ちます
*2:友だちがいれば別ですけど…ね…
*3:チーム解散の報が流れる一方で、新チーム結成や再結成の知らせが飛び交っているため、数の補足の難しさがそう感じさせているのかもしれませんが。私の知る限りでは、シャドバチームまとめ様(@sv_teamlist)が情報をまとめるべく奔走していらっしゃるようなのですが、しかし全てを網羅することは中々に困難でしょう。
*4:しかし素朴な疑問ですが、チームが自分たちの研究成果の漏洩を恐れているとするなら、窓に属することを許すというのは矛盾が生じていないでしょうか。さらに、他チームのメンバーがほとんどの中で情報を得るには、自分も情報を開示しなければなりません。しかし、自分が情報をある程度しか開示しないということは、他の面々もその程度にしか情報を明け渡さないということです。そのような状況で、窓が十分に機能しているかどうかは少し疑問です。
*5:内戦や対抗戦をチームだけでなく窓も行うのは、前者が結束のために重きを置き、後者は技術向上に重きを置いていると考えれば合点が行くのではないでしょうか
*6:ギルド構成員がTwitterによって募られ、Twitterでの交流も同時に行うような体系を想定しています。グラブルやプリコネなどが良い例です
*7:画像は設立直後のものなので1人です
*8:ただ、片方はチーム掛け持ちを許可しており、もう片方は掛け持ちルールが公表されていないため、はっきり言えることではありませんが
*9:人数制限はチームが10〜20人ほどの構成員を抱えるにとどまっているところを見れば気にしなくて良いでしょう